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領域別情報

腹膜透析(PD)

PDに伴う合併症(感染症)

1 - 3.カテーテル関連感染症の治療

ISPDカテーテル関連感染症ガイドライン2017より抜粋

 

1)カテーテル関連感染症の管理

 ESIおよびトンネル感染の起炎菌はさまざまである。ESIの起炎菌の中で最も深刻かつ多く観察されるものは黄色ブドウ球菌と緑膿菌であり,しばしば腹膜炎に進展することから,積極的な治療が必要である。コアグラーゼ陰性ブドウ球菌とその他の菌(ジフテロイド,連鎖球菌,非結核性マイコバクテリア,真菌)も関与し得る。

 

臨床所見と評価

 上述のように,ESIはカテーテルの出口部やその周囲の皮膚の発赤の有無にかかわらず,膿性の浸出液があることで診断される。トンネル感染では皮下トンネル部に発赤,腫脹,硬結,圧痛が認められ,通常,ESIを伴う。膿性の浸出液を伴わない出口部の皮膚の発赤は,ESIの早期徴候である場合もあるが,皮膚の局所反応である場合もある(例:カテーテル留置直後,カテーテル留置のための創)。一方,発赤および膿性の浸出液がなく培養陽性である場合は,おそらくコロニー形成を示しており,感染ではない。カテーテル出口部のモニタリングでは,表2の出口部の評価スコア使用が推奨される。

表2 出口部の評価スコア a

  0点 1点 2点
腫脹 なし <0.5cm >0.5cm b
痂皮 なし <0.5cm >0.5cm
発赤 なし <0.5cm >0.5cm
疼痛 なし 軽度 重度
滲出液 なし 漿液性 膿性

a:Schaefer F et al.から改変 b:またはトンネル部を含むもの

 

カテーテルトンネル部の超音波検査の考えられる適応について表3に要約する

表3 カテーテルトンネル部の超音波検査の考えられる適応

  • トンネル感染が疑われる場合の初期評価
    例: 発赤および圧痛を伴わないトンネル部の腫脹
  • トンネル感染の臨床所見が認められないESIの初期評価(特に起炎菌が黄色ブドウ球菌の場合)
  • 抗菌薬投与後のESIおよびトンネル感染の経過観察
  • 再燃性の腹膜炎エピソード

 

起炎菌の同定

 ESIおよびトンネル感染の起炎菌は数多くあり,コリネバクテリウムのような正常な皮膚常在菌も起炎菌となりうる。起炎菌の同定では,顕微鏡検査に加え,好気性および嫌気性の条件下での培養検査を併用することが望ましい。

 

出口部ケア

  • ESIの発症中は,最低でも1日1回,出口部を洗浄することを推奨する(1C)。

Perit Dial Int 2017; 37(2): 141-154

 


2)カテーテル関連感染症の治療

抗菌薬による経験的治療

  • ESIに対する経験的な経口抗菌薬投与を推奨する。患者にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)あるいはシュードモナス属菌種による感染またはコロニー形成の既往がない場合には,ペニシリナーゼ抵抗性ペニシリン(例:ジクロキサシリン,フルクロキサシリン)または第1世代セファロスポリン系薬等,適切に黄色ブドウ球菌をカバーする薬剤を用いることを推奨する。MRSAの既往がある場合にはグリコペプチドまたはクリンダマイシン,シュードモナス属菌種の既往がある場合には適切な抗緑膿菌薬を使用することを推奨する(1C)。

経口抗菌薬による治療は利便性が高く,その有効性についても豊富な臨床経験がある。経験的治療では主に黄色ブドウ球菌をカバーする必要がある。患者に緑膿菌によるESIの既往がある場合,経験的治療には緑膿菌に有効な抗菌薬を含めるべきである
よく用いられる経口抗菌薬の推奨投与法を表4に示す

表4 カテーテル関連感染症における経口抗菌薬

アモキシシリン 250~500 mg BD(182)
アモキシシリン/クラブラン酸 875 mg/125 mg BD(183)
セファレキシン 500 mg BD~TID(86)
シプロフロキサシン 250 mg BD(164)または500 mg 1日1回(184)
クラリスロマイシン 初期投与量500 mg,その後250 mg BD(165)
クリンダマイシン 300~450 mg TID(185)
クロキサシリン/フルクロキサシリン 500 mg QID(186)
エリスロマイシン 250 mg QID(187)
フルコナゾール 経口初期投与量200 mg,その後50~100 mg 1日1回(188)
レボフロキサシン 300 mg 1日1回(189)
リネゾリド 300~450 mg BD(190-192)
メトロニダゾール 400 mg TID(193)
モキシフロキサシン 400 mg 1日1回(194)
リファンピシン BW 50 kg未満の場合450 mg 1日1回
BW 50 kg以上の場合600 mg 1日1回(144,145)
トリメトプリム/スルファメトキサゾール 80 mg/400 mg 1日1回(8)~160 mg/800 mg BD(195)

BD=1日2回,TID=1日3回,QID=1日4回,BW=体重。

 

モニタリングと治療期間

  • シュードモナス属菌種によるものを除きESIに対しては,有効な抗菌薬を用い,最低2週間治療を継続することを推奨する(1C)。
  • シュードモナス属菌種によるESIおよびあらゆる起炎菌によるトンネル感染に対しては,有効な抗菌薬を用い,最低3週間治療を継続することを推奨する(1C)。
  • カテーテルトンネル部の超音波検査は,治療への反応の評価を目的に支持されており,外科的処置の必要性の判断に利用できる(表3)

 

カテーテルの抜去と再挿入

  • 腹膜炎を伴わない難治性のESIまたはトンネル感染(有効な抗菌薬による3週間の治療が無効な場合と定義)のPD患者では,抗菌薬の投与下でカテーテルの抜去と新しい出口部によるカテーテル再挿入を一期的に行うことを推奨する(1C)。
  • ESIが腹膜炎に進行,またはESIと腹膜炎が同時に生じたPD患者では,カテーテル抜去を弱く推奨する(2C)。
  • ESIまたはトンネル感染と腹膜炎が同時に生じ,カテーテルを抜去した患者では,カテーテルのあらゆる再挿入は,カテーテルの抜去および腹膜症状の完全な消失後2週間以上経過してから行うことを弱く推奨する(2D)
  • カテーテル関連感染症によるカテーテル抜去の適応を表5にまとめる。

表5 カテーテル関連感染症におけるカテーテル抜去の適応

  • 腹膜炎エピソードと同時に生じたカテーテル関連感染症
  • その後の腹膜炎エピソードの原因となるカテーテル関連感染症
  • 難治性のカテーテル関連感染症*

*有効な抗菌薬による3週間の治療が無効な場合と定義。

Perit Dial Int 2017; 37(2): 141-154

 


出口部変更術(subcutaneous pathway diversion :SPD(1))

感染していない皮下部のカテーテルを切断し、チタニウムコネクターで新しいカテーテルの皮下部と連結し、トンネラーで感染のない皮下を通して新たな出口部を作製します。感染部分の手術になるため、十分に配慮しないと新規部分に感染が波及する可能性がありますので注意しましょう。感染が広範囲におよぶ際や、緑膿菌の場合は不成功に終わる危険性があるため、抜去入れ替え術の検討も重要となります。
(1) 都筑優子, 西澤欣子, 窪田実, 他. 腎と透析. 2006; 61 別冊 腹膜透析2006: 329-331.

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