ISPDカテーテル関連感染症ガイドライン2017翻訳版、日本透析医学会「腹膜透析ガイドライン2019」より引用
1)カテーテル関連感染症の診断
定義:
- 腹膜透析カテーテルの組織通過部分の外周囲における病原体感染
診断:
- 出口部感染:腫脹、痂皮、発赤、疼痛、浸出液などの臨床所見、皮膚発赤の有無にかかわらず、出口からの膿性浸出液が認められる状況
- 皮下トンネル感染:皮下トンネル部に沿って臨床的な炎症所見あるいは超音波検査における液貯留所見が認められる状況
- この2つの病態はそれぞれ別に発生、または同時に発生する
感染率:
- カテーテル関連感染症の発症率を少なくとも年に一度は見直す
- 発症率は1患者当たりの年間の発生回数として表す(発生回数/患者・年)
2)カテーテル関連感染症の予防
カテーテルの留置
- カテーテル留置を行う直前に腹膜炎予防目的で抗菌薬の全身投与を行うことを推奨
- 現時点で留置法の優位を示すエビデンスとなるRCTはない
カテーテルのデザイン
- カテーテル関連感染症の予防において、他のものよりも優れていると実証された特定のカテーテルのデザインはない
教育プログラム
- PD患者と介助者の教育に関する最新のISPDガイドラインに従うことを推奨
- PDの教育は、適切な資質と経験をもつ看護スタッフにより主導されることを推奨
抗菌薬と消毒薬の局所への塗布
- 出口部への塗布としてムピロシン軟膏/ゲンタマイシン軟膏塗布を行わないことを弱く推奨
- 日本透析医学会「腹膜透析ガイドライン2019」パート2:CQ3の推奨
- 本邦では、ムピロシン軟膏(バクトロバン®)の適応は、『鼻腔内のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の除菌』に限られています。
- カテーテル関連感染症の予防に優れていることが示された洗浄剤はない
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