腹膜透析(PD)

PDに伴う合併症(感染症)

 腹膜透析(Peritoneal Dialysis:PD)の感染症は予防が第一ですが、罹患した場合は迅速かつ的確な診断と治療を行い、しっかりと完治させることが重要です。
 ここでは近年の日本透析医学会および国際腹膜透析学会のガイドラインを基本にしたPDの感染症の診断および治療法をご紹介いたします。

 

1 - 1.カテーテル関連感染症 概要

 

出口部の構造および出口部感染の発症機序

 カテーテル出口部近傍の健常皮膚組織に、長期間の経過とともにダウングロースが発生してカテーテル周辺にポケット(サイナスsinus)を形成します。サイナスの直下に位置する皮膚組織から皮下カフとの結合組織への移行部は比較的脆弱であり、固定が不安定なカテーテルなどによる機械的損傷や消毒薬などによる化学的損傷により構造的破綻が生じ、次いで同部から不良肉芽が形成されて細菌の侵入が容易となり、出口部感染に進展すると考えられます。
 脆弱な移行部の損傷を防ぐために愛護的に扱い、損傷によりバリア機能が破綻した際に細菌が侵入するリスクを少しでも低減するために、出口部周辺を清潔に保つことが大切となります。

 

正常な出口部

fig

バクスターPDナースカレッジテキスト 2020年改訂版 JP-200091(1)

 

 

サイナス~皮下カフ結合組織の移行部の損傷予防

1.出口部ケアやバッグ交換の時にカテーテルを引っ張らない

  • カテーテルが出口から自然に出ている方向に、ねじれないように固定する
  • 固定する時はカテーテルを引っ張り過ぎない
  • 痂皮(crust や scab)を無理に取り除かない

2.出口部に圧力をかけない

  • ベルト・シートベルト・衣服による圧迫が加わらない位置に出口部を形成する
  • トラブルに備えた患者教育を徹底する

3.石鹸や消毒液等に対するアレルギーや刺激に注意する

  • 出口部周辺に皮膚症状が生じた場合は、当該消毒薬の使用を中止する

4.絆創膏や粘着剤による持続的な刺激を避ける

5.出口を掻いたりつついたりしない

R30120Ver1.0

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