腹膜透析(PD)

腹膜透析(PD)

PDに伴う合併症(感染症)

2 - 2.PD腹膜炎の予防

 

1) 腹膜炎発症率

日本透析医学会「腹膜透析ガイドライン2019」 第六章「腹膜炎管理」、バクスターPDナースカレッジテキスト 2020年改訂版 JP-200091(1)より引用

 ISPDガイドライン2016年の勧告では0.5/患者・年を超えるべきではないと記載しています(1)。わが国の腹膜炎発症率については,1996年の後ろ向き調査では0.23/患者・年であった(2)。また,日本透析医学会が集計した2012~2015年の報告では0.21~0.24/患者・年で,大きな変動はみられず管理は良好といえます。

 

 腹膜炎発症率は、カテーテル関連感染症と同様に1 人の患者が1 年間に何回腹膜炎に罹患したかを示す「回数/患者・年」で表すことが推奨されています。

 

腹膜炎のカウント方法については以下の通りです(3)。

  • PD 練習開始初日(PD 開始日)からカウント開始する
  • 再燃性腹膜炎は1 回でカウントする
  • 入院中、医療者によりPD を施行していた際に起こった腹膜炎もカウントする
  • 1. Li PK, et al. ISPD Peritonitis Recommendations: 2016 Update on Prevention and Treatment. Perit Dial Int 2016; 36: 481-508.
  • 2. Imada A, et al. For the CAPD Related Peritonitis Study Group in Japan. A multicenter study of CAPD-related peritonitis in Japan. J Jpn Soc Dial Ther 2011; 34: 1157-62.
  • 3. 2019 年版日本透析医学会『腹膜透析ガイドライン(2019)』 一般社団法人日本透析医学会 医学図書出版

 

 

2) 腹膜炎の予防日本透析医学会「腹膜透析ガイドライン2019」第六章ポイントより引用

カテーテル留置

  • カテーテル留置を行う直前に腹膜炎予防目的で抗菌薬の全身投与を行うことを勧める

 各施設における抗菌薬抵抗性の細菌群の存在状態に照らし合わせて、PDプログラムごとに予防的抗菌薬を選択すべきである

 

教育プログラム

  • PD患者教育、治療スタッフの教育について最新のISPD勧告の順守することが望ましい
  • PDの教育は一定の能力と経験を有するナースにより主導されることが望ましい

 PD患者教育はPD関連感染症発症に重大な影響を持つため、PD教育について詳細に記述されたISPD患者教育ガイドラインを参照されたい。教育専門家の意見によれば初期教育に加え、再教育を行うことは「間違いを減らす」という観点から重要である。

 

PD再教育の適応日本透析医学会「腹膜透析ガイドライン2019」第六章より引用

  • 入院が長期化した時
  • 腹膜炎および/またはカテーテル感染があった時
  • 手指の細かい動き、視力などの変化および精神的混乱があった時
  • PD関連機器の取り扱い会社が変更された、 または接続方式の変更があった時
  • 何らかの理由でPD中断が行われた後

 

腸管と婦人科的原因に由来する感染

  • 大腸内視鏡と侵襲的婦人科関連手技に先立ち予防的抗菌薬投与が望ましい

 PD関連腹膜炎は侵襲的処置後にしばしば発症する(例:大腸内視鏡、子宮内視鏡、胆のう切除術)ので、予防的抗菌薬の使用が推奨されるが、適切な抗菌療法については明らかになっていない。

 

その他の修正可能な要因

  • 歯科的処置後の一過性の菌血症
  • コンタミネーションの可能性のある接続部位や透析液
  • 低アルブミン血症
  • うつ状態
  • ADL低下
  • ペット飼育
  • ビタミンD投与が行われていない
  • 鼻腔内保菌 

 

PDセンターの継続的な質的改善(CQI)

 ISPD腹膜炎ガイドライン2016において、それぞれのPDセンターが腹膜炎発症率を減少させるためのCQI計画を持つこと、多職種からなる医療チームはCQI計画を実行し、自分たちの施設における行動計画を定期的に見直すことを推奨しています。

 

二次予防について

 真菌性腹膜炎の事例の多くは先行した抗菌薬治療に続いて発症することから、PD患者が抗菌薬投与を受けている場合に抗真菌予防策をとることを検討する必要があります。しかしながら、予防的な抗真菌薬投与にも考慮すべき潜在的な問題があるとされているので注意が必要です。

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