腹膜透析(PD)

PDに伴う合併症(感染症)

2 - 1.PD腹膜炎 概要

日本透析医学会「腹膜透析ガイドライン2019」より引用

 

 腹膜炎は除水能力の低下や腹膜機能の低下を惹起させ、カテーテル抜去、HD への移行、被嚢性腹膜硬化症(EPS)への進展、死亡の原因となるためPDを管理していく上で大きな課題です。腹膜炎を予防し、早期治癒させることが腹膜の機能を温存しPDの継続につなげる重要なポイントとなります。

 

感染経路

感染経路は外因性と内因性に大別されます。

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バクスターPDナースカレッジテキスト 2020年改訂版 JP-200091(1)

 

【外因性】

  • 経カテーテル感染:接触汚染(タッチコンタミネーション)などにより菌がカテーテルの中を通り腹腔内に侵入する感染経路です。
  • 傍カテーテル感染:菌がカテーテルと皮下組織などの間を経て(出口部・皮下トンネル感染からの波及)腹腔内に侵入する感染経路です。
  • カテーテル挿入時の感染も外因性の感染です。

 

【内因性】

  • 経腸管感染:胆嚢炎、虫垂炎、憩室炎、腸管壁の穿孔などからの菌の波及です。
  • 血行性感染:結核や歯科疾患などによる血行性の菌の波及です。
  • 経膣感染:女性の場合、腹腔に開いている卵管采から菌が波及することがあります。
  • その他:腹腔内膿瘍などによる菌の波及があります。

 

PD腹膜炎の臨床症状

腹痛発熱 80%
排液混濁 80%
発熱(37.5度以上) 30%
嘔気・嘔吐 50%
低血圧 20%

 腹痛と排液混濁は必ずしも同時に発症するわけではなく、腹痛がなく排液混濁のみのこともあれば、遅れて排液混濁をきたすこともあります。排液混濁には腹膜炎以外にも鑑別すべき疾患が多いですが、PD関連腹膜炎であることが多いと言われています。
 腹痛がなく排液混濁に気づかない場合、診断が大幅に遅れることがありますので、日常での排液の観察が大切となります。

日本透析医学会「腹膜透析ガイドライン2019」 第六章「腹膜炎管理」より引用

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