腹膜透析(PD)

PD導入を迷う症例

2.肥満患者

肥満患者に対するPD導入のポイント

ERBP (European Renal Best Practice)(1)のPD適応に関する臨床アドバイスの中に、肥満はPDの禁忌と考えるべきではないとあります。ここでは肥満患者に対するPD導入に際し、そのポイントをご紹介します。

ERBP (European Renal Best Practice) PD適応に関する臨床アドバイス

以下の臨床状態はPDの禁忌と考えるべきではない:

  • PDを実施するにあたり、身体的・精神的に困難と考えられる患者
  • 高齢
  • 治療に対してアドヒアランス / コンプライアンスが低い患者
  • 肥満
  • 鬱血性心不全
  • 多発性嚢胞腎
  • 憩室炎
  • 腹部ヘルニア
  • 門脈圧亢進
  • 肝移植

 

肥満患者での適正透析への考慮

肥満患者へは 透析不足にならないよう透析液量を考慮する必要があります。
BMIで階層化した血液透析(HD)患者に対するPD患者の死亡の相対リスクに関しては、BMI30.00以上でハザード比が1を超えるという報告(2)があり、透析不足にならないように適正透析量を維持する必要があります。

 

出口部作成の位置(3)

肥満患者へのPD導入に際して、出口部をどの位置に作成するかという点を考慮する必要があります。ここでは上腹部と前胸部に出口を作る方法をご紹介します。

 

<上腹部出口:UAE(upper abdominal exit)>

fig

UAEの選択理由としては、従来の腹部出口では皮下脂肪により出口部のケア・観察が困難であること、皮膚のたるみから出口感染のリスクが高いことなどが挙げられます。
UAEは上腹部の目視できる位置に出口を作るため出口ケアが容易であり、湯につかりにくい高さのある出口のため入浴にも便利な点から、肥満患者に限らずほとんどの患者にUAEを適用することができます。

 

<前胸部出口:presternal exit(別名:バスタブカテーテル)>

fig

前胸部の第2~第4肋間に出口を作ることから、肥満、腹部瘻孔、入浴(バスタブにつかる)を好む患者に適応することができます。
本邦で発売されている60cm~80cmの長いタイプのカテーテルを用いれば、従来の腹部出口にこだわることなく、いろいろな体形の患者のケアのしやすさ、衣服の嗜好、医学的理由などに合わせた場所に出口を作ることができます。

 

【参考文献】

  • 1.    Covic A, et al. Nephrol Dial Transplant. 25(6): 1757-1759, 2010
  • 2.    Lievense H, et al. Nephrol Dial Transplant. 27: 3631–3638, 2012
  • 3.    バクスター社 PDカテーテル挿入術およびカテーテル関連合併症の管理(改訂2017年版) R30091

R30118Ver1.0

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