1.PDカテーテルの構造
1)カテーテル先端部の形状と特徴
ストレート型:
先端部が直線的でダグラス窩(直腸子宮窩または直腸膀胱窩)への留置が容易です(図のタイプ)。
カール型:
先端が外から中へ渦巻き状の形状になっているタイプで、透析液の注排液時の疼痛が少なくカテーテル位置移動や大網、腸管の巻き込みが少ないといわれていますが、明確なデータはなく、いったん位置移動を起こすと整復しにくいという欠点があります。
2)カフ間の形状と特徴
ストレート型:
カフ間は直線的で、皮下部分をカテーテルの自然弯曲によって埋め込むために、カテーテルの復元力によって位置移動が生じやすいといわれています(図のタイプ)。
スワンネック型:
カフ間がU字型になるように成形されているタイプで、出口部を下向きにすることで、汗や垢、水滴などが出口部に溜まることを防ぎ、出口部を清潔で乾燥した状態に維持できるといわれています。
2.我が国での汎用度の高いカテーテル
(丹野有道、2011、「腹膜透析療法マニュアル」、東京医学社、P37-47 一部改編)
(山川正人ら、2008 腎と透析 Vol.65 別冊 腹膜透析2008 p37-42)
3.カテーテル挿入術前後の処置
1)挿入前の処置
- 切開創・出口の位置決定
- 腹部の剃毛・脱毛
- 消毒液を使用した入浴
- 洗腸、完全排尿と導尿など消化管、膀胱の前処置
2)挿入後の処置
- 腹部X線写真
- カテーテル位置、腸管ガス像
- カテーテル機能の評価
- 疼痛管理
- コンディショニングの開始
(窪田実、2003 臨牀透析 Vol.19 No.7 p979-984)
4.手術早期の合併症
- 臓器穿孔(スタイレット使用時など)
- 膀胱、腸管など
- 腹腔内出血(血性腹水)
- 腹痛
- 術後の創痛、注排液時の疼痛
- 透析液のリーク(腹膜の結紮不良やカフ固定の際の針刺しなど)
- カテーテル閉塞
- フィブリン塊や凝血による閉塞
- カテーテル皮下トンネル部分の曲り
- 位置移動
- 大網捲絡
- 便秘による閉塞
(窪田実、2003 臨牀透析 Vol.19 No.7 p979-984)