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PDに伴う合併症(感染症以外)

3 - 2.その他の合併症 - 2

3)好酸球性腹膜炎

原因
  • 可塑剤やカテーテルのシリコンゴムに対する一時的な過敏性。
  • 腹腔内への空気/血液の混入。
  • 透析液へ添加した抗菌薬やヘパリンなど。
  • ポビドンヨード消毒薬のわずかな混入。
  • イコデキストリン。
  • EPS。
症状・診断
  • 一般的にPD導入後の2~3週間以内に生じ、通常、翌週には自然に軽快する。
  • 好酸球性腹膜炎は、腹膜透析患者の2~4%で生じると考えられている。
  • 患者は軽度の腹部不快感を訴え、早期の細菌性腹膜炎のように排液が混濁する。
  • 排液の細胞数は、好酸球優位であり、排液の培養検査は陰性である。
  • 患者の半数以上は、末梢血においても好酸球増加症を認める。
治療
  • 自然消失するかどうか数週間から数ヶ月は静観する。
  • 細菌性、真菌性、マイコバクテリウム感染症を除外した後、早期の寛解を目的とした一時的な抗ヒスタミン薬の投与や少量のステロイド療法を行う。

監訳者:木村健二郎ら、2012、「PDハンドブック Steven Guest MD」、東京医学社、P103-121

 

4)乳糜排液

原因
  • マニジピン、ニソルジピン、ニフェジピンなどカルシウム(Ca)拮抗薬の内服。
  • 食事性(脂肪過多の食事)。
  • 急性膵炎や肝硬変、リンパ管の損傷によるもの。
症状・診断
  • 排液分析(排液へのエーテルおよびアルコールの混合有機溶媒の添加により、脂肪による混濁では白濁消失、透明化する)。
  • リンパ球が多く存在。
  • 排液混濁以外の症状がほとんどなく、自覚症状を欠く。
治療
  • 食事性の排液混濁は一過性のことが多く、特に治療は行わない。

監訳者:木村健二郎ら、2012、「PDハンドブック Steven Guest MD」、東京医学社、P103-121

乳糜排液の原因一覧を以下に示します。
リンパ腫、最近の腹膜透析カテーテル留置術後、非リンパ腫の腹部悪性腫瘍、腹部大動脈瘤術後、リンパ行性転移、胆嚢摘出術後、炎症性腹膜炎、特にマイコバクテリア、フィラリア、膵炎、SLEにおける腺炎、肝硬変、アミロイドーシス、上大静脈症候群、カルシウム拮抗薬、カルシウム・ヒドロキシホスフェイト・アパタイト結晶

 

5)血性排液

原因
  • カテーテル挿入後の出血、カテーテルによる腹腔内損傷。
  • 女性では月経や排卵時に伴い、性周期に伴って出現することが多い。
症状・診断
  • 透析液1Lに血液2mL以上が混ざっている場合。
  • カテーテル閉塞に注意し様子を観察。
  • 出血が持続したり、原因不明の場合は積極的に原因の検索を行う。
治療
  • 腹膜微小血管からの出血の場合、少量出血で一時的なときは2~3回の洗浄で清明となる。多量出血の時は、カテーテルによる腹腔内臓器の穿孔を疑う。
  • 排卵時や生理時の血性排液については無処置。
  • 不安の軽減

監訳者:木村健二郎ら、2012、「PDハンドブック Steven Guest MD」、東京医学社、P103-121

血性排液原因一覧を以下に示す。
排卵、腹膜炎、逆行性月経、悪性腫瘍(卵巣、大腸)、妊娠の合併症、腹膜への転移、卵巣嚢腫の破裂、被嚢性腹膜硬化症、子宮内膜症、膵炎、子宮外妊娠、脾臓の裂傷あるいは破裂、後天性凝固障害、肝臓や腎臓の嚢胞破裂、カテーテルによる外傷、下部消化管内視鏡検査後、放射線治療後、腹部外傷、動脈瘤

 

6)腹膜透析液の色調

暗緑色
  • しばしば食品の原料が原因であることが多いが、十二指腸後壁の漬瘍穿孔や、胆嚢破裂により胆汁が混入した可能性も考えられる。これを確認することは、早急な外科的治療につながり、透析液の胆汁色で外科的は穿孔部位を認識できる。胆汁色以外の暗く汚れた排液は大腸穿孔を示唆する。
蛍光性の鮮緑色
  • 糖尿病性網膜症の精査で行われるフルオレセインによる眼底血管造影検査で使用する造影剤のクリアランスによる生じる。
暗藍色
  • イコデキストリン使用者において透析液のバッグやチューブが暗藍色に染まる事がある。チューブ内の濃い沈殿物(dark line sign)は、イコデキストリンとヨウ素の相互作用を示している。
茶黒色
  • メトヘムアルブミンによる"プラムジュース"と呼ばれる茶黒色に変色した透析液である。このプラムジュース様の透析液は膵炎の症例において認められる。
濃く錆びた色
  • リファンピシンの投与と同時にデキストラン鉄を経静脈的投与した後に生じる。

監訳者:木村健二郎ら、2012、「PDハンドブック Steven Guest MD」、東京医学社、P103-121

 

7)腰痛

原因
  • 腹腔内に透析液貯留のため、生理的な脊柱の彎曲が強くなり腰痛の原因となる。
  • 慢性腎不全にみられる筋力低下や骨病変も症状発症に関与する。
症状・診断
  • 腹膜透析に関連する腰痛では、腹腔内が空になると苦痛が軽減することもある。
治療
  • APDにより就寝中(臥床)に透析を行い、活動時の腰部への負荷を減少させるなど透析処方の工夫を行う。
  • 急性期は安静を保つ。
  • 慢性期は腰痛体操により腰部・腹部の筋力アップを行う。このとき、過度の腹圧をかけないように注意する。弾性コルセットなどを使用する。

Pharma Medica Vol.23(suppl.) :腹膜透析up to date、メディカルレビュー社:2005年、p41-60

 

8)肥満

原因
  • 主に透析液からのブドウ糖吸収による。
症状・診断
  • 標準体重の20%以上の体重増加。
  • 体脂肪率の増加、中性脂肪などの検査値の上昇や、耐糖能低下がみられる。
治療
  • 摂取エネルギーの制限、消費エネルギーの増加。
  • 透析液から吸収されるカロリーを考慮した食事制限。
  • 使用透析液の検討。

Pharma Medica Vol.23(suppl.) :腹膜透析up to date、メディカルレビュー社:2005年、 p41-60