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PD導入を迷う症例

3.憩室がある症例

憩室のある患者への腹膜透析(PD)は必ずしも禁忌ではありません。導入前に憩室があることを知っていることにより、腹膜炎が起こった際に早急に対処できる利点があります。腎不全患者における憩室の存在は高頻度ですが、憩室穿孔の頻度は極めて低いです。
憩室の存在が腸管由来腹膜炎の危険因子ではないとする報告がある一方で危険因子であるとする両方の報告があります。

  • 憩室のある患者への腹膜透析(PD)は必ずしも禁忌ではない。(7),(13)
  • 導入前に憩室があることを知っていることにより、腹膜炎が起こった際に早急に対処できる利点がある。(7)
  • 腎不全患者における憩室の存在は高頻度であるが、憩室穿孔の頻度は極めて低い。(10),(13)
  • 憩室の存在が腸管由来腹膜炎の危険因子ではないとする報告(8),(9),(10),(13)
  • 一方で危険因子である(11),(12)とする両方の報告がある。

憩室の存在と腹膜透析(PD)継続率、死亡率

憩室の存在と腹膜透析(PD)継続率、死亡率への関連性は 認められないという報告をご紹介します。

  • 東海地方137例の腹膜透析(PD)候補患者に腹部CTを行った結果.、57例(416%)に腸憩室を認めた。
  • 憩室を有する患者のうち、内因性腹膜炎は1回のみ発症。
  • 憩室の有無は継続率及び死亡率に関連がなかった。

fig

Toda S.et al. Nephrol Dial Transplant.2012;27 p2511-2516

 

憩室は腹膜炎の危険因子であるとの報告

一方、腹膜炎の危険因子であるという報告も有りますのでご紹介します。

  • 104例の中国人患者に大腸内視鏡及びバリウム注腸検査を行った結果、25例(24%)に憩室が見つかり、49例に128件の腸管由来腹膜炎が発症した。
    憩室及び上行結腸の存在は腸管由来腹膜炎の独立危険因子であったが、治療無効率は有意差がなかったことより、憩室が腸管由来腹膜炎の予後には影響しないと思われる。(14)
  • 1990年の欧米の報告。
    129例のCAPD患者にCAPD導入前に注腸造影検査を施行し、42%の患者に憩室を認めた。9年間の追跡調査により、10個以上の憩室の存在、直径が10mm以上の憩室の存在、上行、横行、下行結腸の憩室は腸管由来腹膜炎の危険因子であるとしたが、実際、憩室穿孔は1例のみであった。
    S状結腸の憩室は危険因子とならない。(15)

 


【参考文献】

  • 7. 三浦 靖彦,他:日本透析医学会雑誌Vol29:315-319,1996
  • 8. del Peso G, et al:Perit Dial Int.21:360-4,2001
  • 9. 木藤 知佳志, 他:腎と透析Vol44:279-282,1998
  • 10. 菅原 由美子:北海道勤労者医療協会看護雑誌Vol29:39-42,2003
  • 11. Yip T, Tse KC, et al: Perit Dial Int. Vol30:187-191,2010
  • 12. A. Tranæus,et al:Nephrology Dialysis Transplantation Vol5: 141-147,1990
  • 13. Toda S, Ito Y,et al:Nephrol Dial Transplant. Vol27:2511-2516,2012
  • 14. Fein PA,et al:Adv Perit Dial. :Vol17:148-52,2001
  • 15. von Schnakenburg C, et al:Perit Dial Int. Vol26:69-77,2006