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腹膜透析(PD)概要

2.腹膜の組織構造と溶質転送機構

腹膜の組織構造

fig

Dobbie JW, The Textbook of Peritoneal Dialysis : 17-44, 1994

 

腹膜は表層にある1層の中皮細胞とその深部の結合組織層(間質)から構成されています。中皮細胞と間質は、基底膜により分けられています。

  • 中皮細胞は連続した基底膜上にあり、細胞表面にはたくさんの微絨毛をもっています。また、中皮細胞の原形質にはミトコンドリア、核、粗面小胞体、層状体(あるいは層板)、ゴルジ装置などがあります。
  • 基底膜下の間質は弾性板に支えられており、弾性線維、膠原線維、細網細胞、および顆粒を含む肥満細胞、線維芽細胞などが存在します。また、毛細血管や細小静脈などの血管やリンパ管は、最も深層に存在します。

腹膜の機能

腹膜は覆っている内部臓器の動きをなめらかにし、保護する作用があるほか、生体膜として浸出、漏出、分泌などの生理作用があります。また、腹腔内の漿液には、マクロファージ、組織球、殺菌性の補体も含まれており、細網内皮系的機能も有しています。漿液は、潤滑油的な働きを果たすと同時に、感染時の防御機構を担っています。


腹膜の溶質転送機構

腹膜の溶質転送機構の起点は毛細血管壁です。毛細血管にしろ、中皮細胞にしろ、その解剖学的構造のどれが溶質移動の主体かは明らかにされていなませんが、

  1. 主として小分子量物質が移動する細胞間隙ルート(intercellular)
  2. 小分子量物質および大分子量物質、あるいは電荷の影響を受ける電解質が移動する細胞貫通ルート(transcellular)
  3. 主として大分子量物質が移動する飲小胞ルート(vesicular)

が存在すると考えられています。なお、飲小胞による転送は、細胞のひとつの側から他方の側への「シャトル転送」というかたちをとると考えられています。飲小胞は細胞膜の陥凹として始まり、溶質をとらえます。溶質をとらえて頭部を形成するとcytoplasm(細胞質)の中を任意に動き、他方の側の細胞境界に達すると内容の溶質を吐出するというものです。

(Pharma Medica Vol.23(suppl.) :腹膜透析up to date、メディカルレビュー社:2005年、 p3-5)