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腹膜透析(PD)概要

4.拡散、対流、浸透の原理

拡散

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峰島三千男、他:臨床工学技士指定講習会テキスト.
金原出版、p222-244、1988

溶質濃度の異なる溶液が、半透膜を介して接した場合、溶質は高濃度側から低濃度側へ同じ濃度になるまで移動する。この現象を拡散といいます。
(Pharma Medica Vol.23(suppl.) :腹膜透析up to date、メディカルレビュー社:2005年、 p6)


対流(convection)

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対流は溶存している溶質のサイズが十分小さく、浸透圧により毛細血管から水が移動するのに伴って溶質も移動する事で起こります。このような対流に伴って血液中から溶質が取り除かれる過程は“solute drag(溶質引き摺り効果)”と呼ばれています。
拡散と対流を合わせた物質のクリアランスは、経時変化でモデル化して表すことができます。
(監訳者:木村健二郎ら、2012、「PDハンドブック Steven Guest MD」、東京医学社、P13-19)


腹膜のクリアランス動態の経時変化

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監訳者:木村健二郎ら、2012、「PDハンドブック Steven Guest MD」、
東京医学社、P15-16

拡散は腹膜透析(PD)における小分子輸送の主たる機序です。拡散によるクリアランスに影響を与える主たる因子を下記に示します。

  • 血液と透析液との溶質の濃度差
  • 溶質の分子量(小さなものほど早く抜ける)
  • 有効腹膜表面積
  • 透析液量
  • 腹腔内への透析液の貯留時間

拡散は、血液から透析液へと同様に、透析液から血液へ向かっても起こります。例えば、尿毒素物質は濃度勾配に従って透析液へ移動し、透析液中の乳酸やブドウ糖は毛細血管内へ移動していきます。分子量の小さい物質は、大きな物質よりも移動速度が速いです。尿素はクレアチニンや中分子物質よりも速く拡散します。また、腹膜における溶質の拡散は上記以外に、腹膜の血管発達度や炎症の状態によって規定されるため患者個々によって異なる可能性があります。
(監訳者:木村健二郎ら、2012、「PDハンドブック Steven Guest MD」、東京医学社、P15-16)


浸透(限外濾過)

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斎藤明:CAPDハンドブック(第2版).
医学書院、p20-27、1993

濃度の異なる溶液間で、溶質が拡散の働きで移動しているとき、溶媒である水は溶質濃度を薄める方向へ移動していきます。この現象を浸透といいます。限外濾過はAQP1とsmall poreの両者を介して起こり、AQP1を介した水の移送は総限外濾過の40-50%であり、small poreを介して起こるものは50-60%を占めます。 
(監訳者:木村健二郎ら、2012、「PDハンドブック Steven Guest MD」、東京医学社、P15-16)