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PD導入を迷う症例

1.腹部既往手術歴および外科手術後

腹膜透析(PD)導入のポイント

腹部既往歴のある患者であっても、頻回の腹痛、イレウスの既往などの腹部症状が特になければ腹膜透析(PD)導入を試みる価値はあります。
ただし、導入前に腹腔内癒着が高度かもしれないこと、貯液が十分にできず腹膜透析(PD)を断念する可能性がある旨を説明し同意を得ておくことは必要です。
また、腹部手術歴の有無でカテーテル転帰に差はありません。

  • 腹部手術既往歴のある患者に初めからPD導入を避けることはない。
  • 頻回の腹痛、イレウスの既往などの腹部症状が特になければ、PD導入を試みる価値はある。(1)
  • 導入後、目標貯留量が達成できたらPETを行い、透析量が確保されているか確認を行う。(1)
  • 高度腹腔内癒着の症例では、腹腔鏡下カテーテル留置術により透析液の貯液および腹膜機能も問題なくPD導入が可能。(2),(3)
  • 腹部手術歴の有無でカテーテル転帰に差はない。(4),(5)

腹膜透析(PD)継続のポイント

腹部の手術既往歴および外科手術後の腹膜透析(PD)継続ポイント については、上腹部手術と下腹部手術で異なります。
上腹部手術では(胆嚢切除、脾臓切除、胃切除など)術後2~3日目より1回注入量1LのIPDを1~3日間隔で行い、術後10~14日頃から通常の腹膜透析(PD)プログラムに復帰可能です。
下腹部手術では(虫垂、大腸、結腸切除など)、大腸切除後、大腸―大腸または大腸―小腸間に腸管吻合を要する手術では少なくとも2~3週間はいずれの形式の腹膜透析(PD)も行わない方が無難です。

術後、腹膜透析(PD)再開に関する注意点(6)
術直前後の腹膜透析(PD)をいかにするか、術後の腹膜透析(PD)再開が可能か否かの判定が重要です

  • 上腹部手術(胆嚢切除、脾臓切除、胃切除など)
    • 術後2~3日目より1回注入量1LのIPDを1~3日間隔で行い、術後10~14日頃から通常の腹膜透析(PD)プログラムに復帰可能。
  • 下腹部手術(虫垂、大腸、結腸切除など)
    • 大腸切除後、大腸―大腸または大腸―小腸間に腸管吻合を要する手術では、少なくとも2~3週間はいずれの形式の腹膜透析(PD)も行わない方が無難。

高度腹腔内癒着に対する腹腔鏡下カテーテル留置術

高度腹腔内癒着の19症例に対する腹腔鏡下カテーテル留置術について、19例全例で透析液の貯液および腹膜機能も問題なく腹膜透析(PD)を導入したという報告があります。

症例 年齢 性別 原疾患 腹腔内手術歴 カテーテル留置可否
1 90 F 高血圧 帝王切開、腹膜炎、イレウス 可能
2 49 M 高血圧 腹腔内膿瘍 可能
3 64 F 高血圧 子宮外妊娠2回、卵巣嚢腫 可能
4 72 M 高血圧 胃癌、小腸切除、虫垂切除、副腎腫瘍 可能
5 65 M 高血圧 胃癌、小腸切除、イレウス手術、人工肛門 可能
6 58 M 高血圧 真菌性腹膜炎 可能
7 80 M 高血圧 腹腔内膿瘍 可能
8 68 M 慢性腎炎 非定型抗酸菌性腹膜炎 可能
9 49 F 糖尿病 腹膜炎 可能
10 48 M 糖尿病 カテーテル機能不全 可能
11 62 M 糖尿病 胃癌 可能
12 39 M 慢性腎炎 pre-EPS 可能
13 60 M 糖尿病 腹膜炎 可能
14 72 F 糖尿病 帝王切開 可能
15 76 F 糖尿病 帝王切開 可能
16 87 M 糖尿病 虫垂炎 可能
17 60 M 糖尿病 肝癌 可能
18 73 M 糖尿病 胃潰瘍穿孔、虫垂炎、陰嚢水腫 可能
19 70 M 糖尿病 肝癌 可能

腎と透析Vol.69別冊 腹膜透析2010;277~280,2010


PD患者の腹部手術の術前、術後管理

PD患者の腹部手術の術前、術中、術後のポイントについてご紹介します

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大田和夫ら CAPDの臨床改訂 第二版増補(南江堂:P281-288)


【参考文献】

  • 1. 石崎允,他:逆引きPD事典(東京医学社):90-91,2005
  • 2. 岡本 貴行,他:腎と透析Vol69(別冊 腹膜透析2010) :277-279,2010
  • 3. 加藤 琢磨,他:腎と透析Vol61(別冊 腹膜透析2006):382-383,2006
  • 4. Keshvari A, et al:Perit Dial Int. Vol30:41-45.2010
  • 5. 窪田 実, 他:日本透析療法学会雑誌Vol26:1415-1418,1993
  • 6. 太田和夫 ,他: CAPDの臨床(南江堂):282-288,1984